ウェルビーイングサーベイとは、取り組み事例も解説!
ウェルビーイングとは(定義、日本と世界の状況)
「ウェルビーイング(Well-being)」とは、厚生労働省によると「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。」と定義されています。(※1)
「ウェルビーイング」の言葉は、1951年6月26日に日本において条約第1号として公布された、「世界保健機関(WHO)憲章」に初めて登場しました。
日本WHO協会では、以下のように訳されています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。
(出典:公益社団法人 日本WHO協会「世界保健機関(WHO)憲章とは」)
「ウェルビーイング」は身体的な健康に加え、精神的、社会的にもより良い状態を指しており、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の3つ目のゴール、「すべての人に健康と福祉を(Good Health and Well-Being)」にもこの言葉が登場するなど、昨今注目されている概念です。
ウェルビーイングサーベイとは
「ウェルビーイングサーベイ」とは、よりWell-beingな組織とはたらき方をめざすために、人と組織の現状を把握することを目的としたサーベイです。(※2)
具体的に、従業員に対して「生産性」「健康習慣」「仕事・キャリア」「私生活」「新型コロナ」などの項目を調査することが多く、「ストレスチェック」と合わせて実施されるケースもあります。
企業はウェルビーイングサーベイの実施を通して、結果を観測・分析することで、従業員のウェルビーイングを高める施策の立案や実行が可能となります。
ウェルビーイングサーベイの実施例
1)富山県
富山県では、「ウェルビーイング」を県の成長戦略の中心に位置づけており「富山県ウェルビーイング指標」を設定し、「ウェルビーイング推進課」を設置するなど、様々な取り組みを行っています。
- ウェルビーイングに関する様々な情報を「さあ、みんなで、考えよう!ウェルビーイング」としてまとめ、資料を富山県ホームページにて公開
- ウェルビーイング県民意識調査の実施
- 県民の方々が感じているウェルビーイングやその取組み、活動やイベント情報をソーシャルメディア等で発信
- ウェブサイト「わたしの、みんなのウェルビーイング・アクション!」の運営
また取り組みの一つとして、ウェルビーイング県民意識調査を実施しています。 令和4年に行われた調査では、県内在住の18歳以上の方のうち 5,000人(市町村別・年代別に割り振り、無作為抽出、有効回答率55.1%)を対象に行われ、下記の3つの観点で調査が行われました。
調査内容
生活でのウェルビーイングに関連する項目への主観的な「実感」を問う
(1)総合的な実感 (理想の生活に対する自己評価)
(2)分野別実感
- 心や身体の状態、生きがいなどに対する自分自身の意識
- 家族、職場、地域等との“つながり”の中での人間関係や居心地などへの意識・実感
(出典:ウェルビーイング県民意識調査(生活の実感に関する調査)結果(速報)(PDF:1,016KB)[令和4年11月21日]」 P3)
上記の調査結果より、複数の切り口で調査結果が紹介されています。
(出典:ウェルビーイング県民意識調査(生活の実感に関する調査)結果(速報)(PDF:1,016KB)[令和4年11月21日]」 P9)
(出典:ウェルビーイング県民意識調査(生活の実感に関する調査)結果(速報)(PDF:1,016KB)[令和4年11月21日]」 P18)
このようにウェルビーイングについての調査を行い、分析を行うことで、組織の中のどの世代がどのような課題を持っているのかという傾向を見ることができます。その情報をもとに課題の更なる仮説を立てたり、課題解決のための施策立案が可能となります。
2)アシックス
スポーツ用品の製造・販売を行うアシックスは社内のウェルビーイングにも注目しており、社内の独自調査(ASICS Well-being survey)を全社員に実施し、課題の改善を目的とした取り組みを実施しています。
2023年に発表された「ASICS WELL-BEING REPORT 2023」では4つの観点で分析をおこなっており、
(出典:ASICS WELL-BEING REPORT 2023 P5)
上記分析をもとに、方針を「従業員1人ひとりのヘルスリテラシーの向上と定着」とし、以下の5つの取り組みを公表しています。
1)メンタルヘルス対応の強化
2)健康管理・増進体制の拡充
3)ヘルスリテラシーの向上支援
4)多様な人財が活躍できる職場環境
5)生活習慣の改善支援
ウェルビーイングは近年世界的に注目され、今後も組織や企業に、さらに浸透することが予想されます。
ウェルビーイングの考え方を企業経営に取り入れ、従業員のウェルビーイングを高めることで、従業員満足度の向上やパフォーマンスの向上につなげていきましょう!
(※1):厚生労働省 雇用政策研究会報告書 概要(案) P1
(※2)パーソル総合研究所 Well-beingサーベイ