15年以上にわたる蓄積データの活用に向けて実証実験に参加

年間13,000件以上のイベントを手掛ける株式会社セレスポでは、経営や事業運営に関わるデータを長年蓄積していました。 それを事業計画や予算策定に役立てるだけではなく、項目の相関性を見ながら施策検討ができるとよいとの思いから、今回の実証実験に参加いただきました。そもそもどのような考えでデータを集めてこられたのか。今後どのような展望をお持ちなのか、伺いました。

多量の蓄積データを使い、人的資本経営を進めたい

自社としての重要指標を持てるようになりたい

人への投資とその効果を投資家にも見せられるようにしたい

悩み・課題

項目間の相関性が自在にビジュアル化できることに、活用の手応えを得る

時間差での相関性が出せることを確認し、今後の活用を検討

従業員調査を併用し、財務データを含めた分析可能性を確認できた

効果・結果

データを元にした議論が、徐々に社内で行われ始めた

事業概要について教えてください

さまざまなイベント実施をサポートするのが当社の主な事業です。企画から当日運営まで一貫して対応できますので、お客様のやりたいことを聞きながら提案していきます。大事なのは、お客様の本当の意図をくみとって提案することです。場合によったら、イベントではない手段の方が有効な場合もあり得ます。 イベントを起点としながらも、お客様にとって有効なソリューションを考えて提案する力が、今後ますます必要になるだろうと思っています。

そういう人材をどう増やしていかれるのですか?

人材育成にも段階があると思っています。たとえば、仕様書に沿ってつくりあげるイベントは、言われたことをきちんと完遂することが大事です。まずはこの力をきちんと身につけるところから始め、その次にお客様のニーズ把握や提案力を磨いていくことになります。
その過程では多様な経験を積むことこそ必要です。だからこそ、早いタイミングで多様な案件を経験すること、時には部署異動することを意図的に行いたいと思っています。とはいえ現実にはどの部署も忙しく・・・・・・習熟者を異動させたがらない傾向も否めません。

データを長年蓄積してきたことのねらいは何だったのでしょうか?

実はそこまで計画的に始めたわけではなかったんです。以前は会社としてのKPIが定め切れていなくて。ある年に見ていた指標を、翌年は別のものに変えるなんてことがありました。ただ、一度使った数字はまた使うかもしれませんからね。そのまま取り続けていった結果、いろいろな項目のデータが貯まっていきました。数字の推移を見続けていると、何となく肌感覚とあっているかどうかが判断できるようになってきます。
数字の見方ですよね。たとえば平均値で見るか、中央値で見るか。最初は平均値で推移を見ていたのですが、案件の規模については判断できません。それを中央値で見ると規模感のシフトが見えてきます。実際、業が落ち込んだ時には中央値が下がっていることが確認できたので、データによって的を外さない議論ができるという社内認識も随分高まりました。


経営方針と連動した指標を探索し続ける

非財務領域のデータも多く集められているのが印象的だったのですが

もともとは、外部から調査依頼が来る時に聞かれた数字を項目化していったんです。CSR調査や労働災害系などの調査票が省庁などから送られてきますので。あとは気になった事象関連ですね。
一時期、交通事故が何件か起こってしまいまして。違反が少なくなれば交通事故も減るだろうと思って、事故数だけではなく、違反数の数字も取り始めました。相関性というのを自分たちなりに考えて、わかりやすいところから取り組んでみたわけです。

社内会議でデータを求められることもあるのでしょうか?

そうですね。社長も業績や給与の数字を定期的に確認してきましたし、年度計画をつくる時に「数字を見せて」と言ってくる部署もありますし。
毎年決算後に、データ表を全部署へ発信して、最新データの入力を依頼していたんです。入力しておけば自分たちでも使えるという意識を持ってくれたからでしょう。割と皆入力してくれましたし、データを活用しようという意識もあると思います。

なかなかデータが集まらない会社もあると聞くのですが・・・・・・部門との連携はスムーズだったのですか?

もともと部門側がリクエストしてきた項目でもありますし、皆まじめだから、依頼にはきちんと答えようとしてくれますね。あとは、私が広報の立場だったからでしょうか。社内報を通じて社内メンバーとの関係性が結構つくれていたのも影響したからかもしれません。もちろん、項目を設定したけれどなかなか数字を出してくれないとこともあります。特に、現場ではあまり使わないような開示項目系になると、ぴんとこないからでしょうか。反応が悪いです。

本当はこんなデータも取れたらよいというのはございますか?

仕事の状態、業態変化というのをうまく数値化できたらいいなとは思いますね。たとえば同じスポーツイベント案件を受注したとしても、設営部分、運営部分、企画部分といったどれが評価されたのか。そのあたりがなかなか可視化できていません。
今後はイベントの上流工程の受注を増やそうという目標もありますが、案件の内実を数値化できれば、目標に近づいているかどうかを具体的に議論しやすくなるでしょう。

項目の相関性を見つけ、施策の意味づけを強めていきたい

今回の実証実験に参加いただいて、いかがでしたか?

相関性が出せる仕組みに興味を持って、参加させてもらいました。自在に項目間の相関性がビジュアル化できるのは、興味深いですね。
何となく関係があるだろうと思っていたものが検証できたり、時間差で相関性が出ることが特定できたりすることがあれば、すごく役立つ情報になると思っています。

項目間の影響面、関係性が見えるのが企業にとって有効ということですか?

そうですね。肌感覚で、この課題に対してこの施策が有効だろうと思っても、関連性が説明できないと「なんで」と言われてしまう。しかし、本当に必要なことなら説得力をつけて押し戻す必要があります。その時にデータがあると、大いに役立つでしょう。たとえば男性の育児休暇の取得率が何らかの成果に相関性あることがわかれば、皆の認識が変わりますよね。育児休暇を取ることでチーム体制が強まり、チーム体制が強まると大型案件の獲得率が上がる、なんてことが仮に見えたとしたら有効でしょうし。
その点では、covalで中間指標のようなものまで相関性を見ることできると、非常に役立つだろうと思っています。今後システムを自分たちで操作できるようになれば、さまざまなデータを比較検証しながら、自社のKPIを磨いていくと思いますので・・・・・・用途に合わせた操作性も高まるとうれしいですね。

冒頭で人事異動の話をおっしゃっていましたが、何か運用されている指標はおありですか?

人事の流動性を高めていきたいとは思っているのですが、運用できる指標はまだつくれていません。当社の場合、拠点が離れているので、異動に際してライフプランの変更が生じることもあります。会社都合だけで命じられるものでもない。
でもそこに、成長と異動の相関性のようなものが見えると、説明する際にも本人が判断する際にも、納得感を持てると思っています。たとえば経験した部署の数と、将来の活躍との相関性のようなものですね。
いろいろな経験をすることがよい理由を可視化できたら効果的ですし、従業員にとっても今この場所でパフォーマンスを出していくことの重要さを再認識できるのではないかと思っています。

自分たちの強みを客観的に捉え、対外的にも見せていく

IRのような対外的な場面ではどうでしょうか?

うまく相関性が見えたら、ぜひ活用していきたいですね。業務特性上、わかりやすい指標が少ないんです。たとえば会員制度を持っている事業だとしたら、広告費をどのようにかけて、どれだけ会員を増やしたかが示せると思うのですが、当社は「人」がいかに活躍するかに尽きるわけです。
相関性によって人への投資とその効果が見えれば、会社の強みとしても使えると思っています。

数字はどのようなタイミングで活用されていますか?

目的別にタイミングがあります。決算時期や次年度予算の時期はもちろんですが、採用計画のために推移を確認することもありますし。今回の実証実験では組織診断も組み合わせて実施できたので、組織を客観的に見て打ち手を考えるという使い方も改めて認識しました。

今後の人的資本経営で考えていらっしゃるところはございますか?

義務化にはもちろん対応していきますが、自分たちにとって重要なものをきちんと見つけていきたいと思っています。それはおそらく、社員にどういう職場を提供するかに関わってくるでしょう。数字を開示するということは、他社と比較して見られるわけです。
いろいろな働き方を望む人がいる中、セレスポはどういう職場で、どんな働き方ができるのか。どういう人に育ってほしいかということを、解像度を高めて実践し、発信していけたらよいと思っています。

お客様プロフィール

お客様 株式会社セレスポ(証券コード:9625)
代表者 代表取締役社長 田代 剛
所在地 東京都豊島区北大塚1-21-5
設立 1977年7月21日
事業内容 1.デジタルトランスフォーメーション支援
2.IT人材調達支援
3.土木ならびに建築の設計監理および施工
4.警備業
5.上記に附帯する一切の業務
URL https://www.cerespo.co.jp/