価値を生み出し続ける組織づくりを目指して~自社を的確に表す人的資本のデータ管理

ベルーナ様インタビュートップ

通信販売で全国にお客様との接点を広げ、成長してきたベルーナ。時代の変化に合わせて専門通販やソリューション事業などへと業態を広げ、衣食住遊を豊かにする事業を展開してきました。事業が変遷し、人数も拡大していくなかでどのような組織づくりを意識してこられたのか。人的資本経営への取り組みとあわせて伺いました。

【お話を伺った方】
取締役 総務本部長 兼 管理本部長 専務執行役員 安野 雄一朗様
執行役員 情報システム本部長 兼 グランベルホテル 営業推進室 室長 浅沼 泰匡様

人員数拡大・業態拡大に応じたマネジメントに進化したい

効率化とチャレンジの両面を喚起したい

人的資本開示に向けて取り組むべきことが漠然としていた

悩み・課題

数値管理によるマネジメントと責任に応じた報酬を整備してきた

多様な人の活躍をたたえる仕組みを運用。今後は可視化も検討していきたい

実証実験を通じ、業績と人に関するデータの連動性という観点を具体化

効果・結果

人員数拡大のなかで、信頼関係づくりに加えてマネジメント数字も重視

事業概要について教えてください

安野様 70年代の後半に頒布会形式で通販事業をはじめたのが、当社のスタートです。73年まで続いた高度成長期の後も物の値段が上昇する状況が続き、一年先まで一定価格で予約できるスタイルが当時は大いに支持されました。その後は女性の社会進出をサポートするレディースファッションのカタログ通販が成長するなどその時々の社会情勢に応じて業容を変えてきました。しかし2000年以降、情報通信や物流インフラが整備され誰でも通信販売を行うことができるようになると、それまで固有の意味を持っていた通信販売という販売手法には独自性がなくなってきます。現在は通販という販売方法で特徴を出すではなく、誰に対しどのような価値として提供するか、小売業としての根幹的な意味が問われているように感じます。原点回帰のような発想で商品やサービスに特徴がある専門通販の領域を伸ばすなど、世の中のニーズに合わせて事業領域を増やし今に至っているところです。

どのような人材が活躍しているのでしょうか

安野様 当社は発想力や行動力に長ける創業者が独自の思想を持ちながらここまで事業を立ち上げてきた会社と言えると思います。そんな独特の様子に魅力を感じて入社を志した人が数多くいたのではにないでしょうか。最近では経営体制も徐々に変化しており、独特な経営者に惹かれて入社を希望する、というより会社の事業内容や基盤への可能性を感じて入る人が増えたように感じます。 当社にはそんな創業者のスタンスを表した言葉として「1勝9敗の精神」「健全なる冒険」という語録があります。確かにチャレンジの内容や仕方は時代によって変わってきていますが、お客様の衣食住遊を豊かにして、幸せと生活の向上に貢献するという理念に向かい、可能性のある取組みを前向きに進めていく人が会社を牽引しています。チャレンジする人には人も機会も集まってくるというか。会社としてもそんな精神をもった人たちが楽しく仕事をできるような環境を目指しています。

ベルーナ様インタビュー1

人的資本との関わりについてはいかがですか?

安野様 初期はトップマネジメントが直接現場とコミュニケーションをとりながら運営していました。それが信頼関係の醸成に寄与してきたと思いますが、人数が増えるなかで感覚的なつながりだけでは難しくなってきました。そこで徐々に、人のマネジメントに関する数字管理も意識するようになっています。

結果数字につながる要因や行動の可視化に模索

制度や仕組みも変わってきたのでしょうか

安野様 いい意味での権限委譲を進めて、責任範囲に応じた報酬になるような制度にしています。必ずしも目立つ人だけが評価されるのではなく、下支えしてくれる人もきちんと認められることは意識しました。“ガンバレーション”という表彰制度をつくり、いろいろな角度で活躍する従業員にスポットライトをあてるようなことも、10年くらい進めてきています。

“ガンバレーション”の継続が組織の雰囲気にも影響しそうですね

安野様 そうですね。基本的に表彰の場には全従業員が参加して、表彰理由やコメント発表などをおこなうようにしてきました。売上や効率化など業務直結のテーマもあれば、環境整備に注力した人をフォーカスすることもあり、ポイントは具体的に感じてもらっているのではないかと思います。

組織状態は定量化しにくいものもありますが、データの可視化という点ではどのようなことをお考えでしょうか

安野様 数字で表すと機械的なチェックはしやすいのですが、成果の前工程部分はなかなか目に見えないので、悩ましく思うところです。本人の自主性や成長要因といった部分をどのように伸ばしていくか。会社が掲げているバリューの実践もその1つですが、そこを促したり実践を可視化したりするようなことは、まだ整理できていないところです。

組織づくりとしては、今、どのような課題がありますか

安野様 通信販売事業をしていると、お客様のレスポンス状況をデータで分析することが増えていきます。いかに情報を活用して取り組んでいくかという重要な部分なのですが、データに意識を向けすぎると既存のお客様の理解は深まる分、それ以外の層に目が向かなくなることも起こります。効率化は進むのですが、世相が広がっていかなくなるというのでしょうか。データありきではなく感覚的にチャレンジできる人も一定数必要だと、ここ数年思っています。社長からも現場からどんどんアイデアが出るような組織にしたいと言われているところです。

ベルーナ様インタビュー2

実証実験では、業績と従業員関連データの連動に期待

今回の実証実験にはどういった関心で参加いただいたのでしょうか

安野様 業績と従業員関連のデータでの分析はできていなかったので、どういったものが得られるだろうかと興味を持ちました。今回の結果をまだ解釈しきれてはいないのですが、取り組みへのヒントが得られそうです。

浅沼様 人的資本開示についての取り組みが漠然としていたなかで、自社内にあるデータを使って何か方向性を探るというのは、おもしろい取り組みだと思いました。たとえば勤続年数別で相関をとるという発想もあまりなかったので、そういう見方もできるのかと思いましたね。

安野様 新しいアイデアを形にしていくにも、組織内で通していくときにきちんとした説明が必要になってきます。若手だけだとそこで止まりがちで、中間管理職がいると進みやすいといった事象もあると思います。組織力の高め方の観点を、こういった分析から検討できる気がしました。

データをモニタリングしていくツールとしては、どういう可能性を思われましたか?

安野様 実際の業務成果を考えると、個々人のキャラクターの部分が影響してくると思います。データ傾向だけではアクションに繋げる判断は難しく、全体として傾向を捉えつつ、個々人とのコミュニケーションは別の細かいデータも併用しながらでしょうか。現状を知る点も手掛かりとしてはもちろん必要で、連続的にやることで見えてくるものもあるはずです。

安野様 組織診断の方は、打ち手につながるヒントが得やすそうです。管理職と非役職者の比較データを見ると、やはりトップとの距離が近い上位層の方が方向性理解も進んでいますし、自分ごとに落としやすい傾向はあるのかなと感じました。中間層で落ちこんでいれば展開の仕方を考えるべきでしょうし、そこを機能させることで業績向上の道筋も見えてきます。そうした観点を改めてデータで示されたという気はしました。

組織の将来をつくるために、人的資本経営に注力

人的資本経営という文脈では、どういった方向性を考えられているのでしょうか

安野様 業績はわかりやすい大きな指標です。経営としてきちんとそこを意識して取り組んでいくのは大事ですし、そこに多くの人の意識が向くのも当然でしょう。ただし、お客様満足や社員満足のような部分もバランスよく見ていかないと、価値を本当に生み出していく活動にならないとも感じます。ぜひそういったところを可視化していきたと思っているところです。

    

浅沼様 たとえば新規事業を立ち上げるときに、最初の実績はどうしても厳しくなる傾向にあります。ですが、その立ち上げる過程のがんばりがあとに効いてくることもありますので、短期的な数字以外でそのがんばりを称賛するようなところは何かしらできたらよいと思いますね。そういうことによって、新しいことにチャレンジしたい人が増えることを願っています。

人が活躍する会社づくりという点での思いをお聞かせください

安野様 人の力を伸ばすことは、組織の将来をも左右します。実際の取り組みは試行錯誤の連続ですが、可能性が高いものに取り組み続けていこうと思っています。同時に、人に関わる取り組みが将来にわたる価値があるということを社内でも認識を高めたいですし、国全体でもその方向が進み、より未来志向の活動が増えることを期待したいと思っています。     

お客様プロフィール

お客様 株式会社ベルーナ(証券コード:9997)
代表者 代表取締役社長 安野 清
所在地 埼玉県上尾市宮本町4番2号
設立 1977年6月
事業内容 1.アパレル・雑貨事業
2.化粧品健康食品事業
3.グルメ事業
4.ナース関連事業
5.データベース活用事業
6.呉服関連事業
7.プロパティ事業
8.その他の事業
URL https://www.belluna.co.jp/